先月のブログで、三重大の上浜キャンパスが100年続いてることを書きました。アガサ・クリスティの戯曲『The Mousetrap(ねずみとり)』も、ずっと続いていることで有名です。1952年の初演以来、2020年3月にCOVID-19の流行により公演が中断するまで、ロンドンのウエスト・エンドで連続公演が続き、世界で最も長い連続上演をしている演劇としてギネスにも登録されています。現在では、公演が再開されています。1952年が初演なので、今年で70周年を迎えます。現在でも、月曜日だけがお休みなだけで、週6日、木曜と土曜と日曜は昼夜2回公演なので、週に9回も公演されています。70年間、概ねこのペースで、一つの演劇が上演され続けているというのは、ものすごいことです(公演回数は29000回を超えています)。
僕も小学生の時に、子供向けのシャーロック・ホームズ全集を買ってもらって以来、英米ミステリーファンです。その後アガサ・クリスティ、レックス・スタウト、エラリークイーン、ヴァン・ダインと読み進み、レイモンド・チャンドラー、ダシール・ハメットとハードボイルドに揺れ、その系統でエルモア・レナード、R・D・ウィングフィールドあたりを読み継いでいます。
ミステリーで、かなり英米文化を知ったような気がします。その中で、一番驚いたのは、トニイ・ヒラーマンのナバホ・ネイション警察シリーズでした。ナバホ・ネイションというのは、ネイティブ・アメリカンのナバホ族の居留地、いわゆるインディアン居留地です。インディアン居留地には部族政府が置かれており、条件付きの自治権が認められています。アメリカにはこういう先住民の居留地が100カ所以上あります。試しにグーグルマップでアメリカ合衆国を表示して、「インディアン居留地」と検索してみてください。「○○リザベーション」とか「○○ネイション」が検索されます。基本的に居留地の中で起きた事件は先住民の部族警察が捜査をします。その部族警察を舞台にしたのが、ナバホ・ネイション警察シリーズです。比較的最近では、2017年に『ウインド・リバー』というウインド・リバー・インディアン居留地を舞台にし、部族警察とFBIの葛藤を描いた映画もつくられています。
このようにずっと続いている先住民の問題は、カナダにもあって、現在のトルドー首相が、ようやくカナダの先住民の事件について、もっときちんと調べるように指示をだしました。現在NHKで放送中の『アンという名の少女3』(一応モンゴメリ『赤毛のアン』が原作とされている)でも、先住民の子供たちを親から引き離し、キリスト教徒にするために寄宿学校に入れる場面が描かれています。カナダだけで15万人の先住民の子供たちが、寄宿学校に入れられたと言われています。
僕たちの子供の頃には、まだカスター将軍の第7騎兵隊がインディアンをやっつけるというようなテレビ番組や映画がいっぱい作られていました。その他のいわゆる西部劇も、野蛮で悪いインディアンを描いており、無邪気な僕たちは、完全にカスター将軍側からインディアンを見ていました。ダスティン・ホフマン主演の『小さな巨人(リトルビックマン)』(1970)は、西部劇の転換点と言われる名作ですが、複雑な話で転換前の単純な話を期待していた小学生には、難しすぎました。カスター将軍は、リトルビッグホーンの戦いで死にます。この戦場は「カスター古戦場国立公園」となりますが、2003年にようやく「リトルビッグホーン古戦場国立公園」になります。クロー・リザベーションにあるので、グーグルマップで探してみてください。
ちなみに写真は、寒そうな庭です。