通勤電車の予約、出張の際のホテルや新幹線の予約、国際線の予約から搭乗まですべてスマホで済んでしまいます。さらに、国際線乗り換えの空港に着いて次の便の搭乗口に向かって歩いていると、搭乗口の変更をスマホが教えてくれます。また、日常的なメールのやりとりはもちろんのこと、電車の中で文献をスマホで読み、思いついたことをスマホでメモをとっておき、後で原稿に組み入れる事もあります。とはいえ、そんなメモに限って、後でじっくり考えてみると使えないものが多いのですが...。いずれにせよ、スマホのない生活は考えられません。
授業でもスマホを使うことが多くなりました。インターネット上の情報が膨大なものになり、以前であれば図書館で調べていたものを手元のスマホで瞬時に調べることができます。もちろんインターネット上には信頼性が疑わしい情報が溢れているので、どのような情報源を使うのか吟味する必要はあります。教員によっては情報源や使用目的を特定した上でスマホを授業中に使用させることもあるでしょうし、学生によっては辞書や辞典のアプリを登録しておき、授業中に漢字、用語、外国語の単語をちょっと調べることもあるでしょう。スクリーンに投影した課題等をスマホで写メる学生もいます。大学のMoodle(オンラインの学習管理システム)に重要な情報はアップロードしているので、そんな学生たちにとっては備忘録のようなものなのでしょう。
一方で、大学生のスマホ使用が問題になっています。一つには、スマホを使った試験中の不正行為があります。これは言語道断ですが、次に問題なのは授業中の目的外使用です。さすがにゲームをする学生はいないようですが、ツイッターやLINE等をしている学生は少なからずいます。観察していると、2種類いるようです。先ずは、一応悪いことだと分かりつつこっそりスマホの操作をしている学生(教員側からは全てお見通しなのですが)、次に、まったく悪びれることなく正々堂々とスマホでSNS等に興じている学生です。後者については、何か特別な事情がありそうです。
このような学生の中には、程度の差はあるものの依存症もいるのではないかと疑っています。Smartphone/cell phone addiction(スマホ/携帯電話中毒)といった表現があるように、国外でも大きな問題になっているようです。とにかく自己制御のできない依存症の傾向がある場合には、専門家に相談するのがいいかもしれません。大学の授業に集中できず単位を落としたり、課題等いい加減な取り組みしかできないといった状況であれば尚更です。三重大学内には、なんでも相談室が設置されています。
翻って自分のことを考えてみると、自己制御の利かなくなる深夜のドカ食いは、学生たちのスマホと根っこが同じかもしれません。深夜に帰宅して食べ始めると、とにかくやめられないとまらない。健康に悪いので、最近は飢餓状態になる前に何か食べるようにしています。そうするとドカ食いの回数は激減しました。人それぞれだとは思いますが、スマホ依存にも何か有効な手立てがあるかもしれません。例えばですが、iPhoneにはスクリーンタイム機能があります。どのアプリをどの程度の時間使ったのかが分かります。それを見て1日、さらには1週間を振り返ってみると、時間の使い方を見直すいい機会になるように思います。