教員紹介

綾野 誠紀(あやの せいき)専門分野:理論言語学

研究課題:比較統語論

seiki_ayano.jpg我々が何気なく使っている「ことば」には様々な不思議なことがあります。その中でも語順に関する不思議について研究しています。どうして日本語では、「ボールを蹴った」、つまり目的語>動詞の語順なのに、英語では "kick the ball"のように、動詞>目的語なのか。そのことと、日本語では後置詞(例「自宅で」)なのに、英語では前置詞(例 "at home")であることに何らかの関係があるのか等々、一見とても単純と思われることを手がかりに、ことばの仕組みについて日々考えています。

教育面では、どのようにすれば、文章を読み考えたことを、書きことばを通してうまく人に伝えることができるようになるのか、という高等教育における最重要課題について、教養教育の新しい試みである教養ワークシップの授業を通して考えさせられています。

井口  靖(いのくち やすし)専門分野:ドイツ語学、言語学

研究課題:ドイツ語の副詞などの意味の研究

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ことばの最も重要なはたらきは「意味」を伝えることです。ですが、あらためて「意味」とは何かと言われると答えに困ります。また、子供や外国人に「このことばの意味は何?」と聞かれてすぐに適切に答えることはできないのがふつうです。それは意味は聞こえも見えもしないからです。
このような話をするときに、私は学生たちに「○○を読む」にはいる語を聞いてみます。「本」「文字」はみんな思いつきますが、「顔色」とか「心」とか「流れ」とか「空気」などという答えが返ってくることもあります。そこから「読む」ということはどういうことなのか、できるだけ客観的に考えていくことになります。そしてもし「読む」の意味がわかったとしたら「空気を読む」の「空気」とは何かもわかってくるかもしれません。考えてみてください。

主要著書:『副詞』(ドイツ語文法シリーズ)大学書林、『アクセス独和辞典』『アクセス和独辞典』(共著)三修社

赤岩 隆(あかいわ たかし)専門分野:イギリス文学

研究課題:小説の研究

20170328_133716.jpg「小説とは何か」という問題に応えようとして、はや数十年、定年間近に近づいた。皆さんと同じような年頃に村上龍の『限りなく透明に近いブルー』という芥川賞作品に出逢い、これくらいなら自分でも書けるんじゃないだろうか、と思ったのが、運の尽き、本だけが山のように溜まっていった。それぞれの国語に従う小説には法律同様国境があるけれども、小説を成り立たせる美には経済同様境目というものがないから、小説を研究する者は、広く世界文学を漁ることになり、結果、そんなふうに際限もなく本が増えてゆく。くわえて、文学のなかでもとりわけ小説は、柔軟性が高く、世界のあらゆるものを取り込もうとするから、研究領域が際限もなく拡がってゆき、そこが、ほかの学問とは違い、おもしろいところでもあるのだが、じっさい、やりはじめると限がなくなる。研究とは、およそそうしたものと承知はしているものの、はたしてこの長い物語に終わりはあるのだろうか・・・。

翻訳:ナディン・ゴーディマー『マイ・サンズ・ストーリー』(スリーエーネットワーク)

吉田 悦子(よしだ えつこ) 専門分野:言語学、談話分析、語用論

研究課題:自然発話データに基づく文法の多重性、談話構造、対話理解の研究

DSC_6775(案1吉田Hertford).JPG話しことばは、私たちの言語活動の大部分を占め,対話や会話によるコミュニケーションは、話し手と聞き手の相互行為としてとらえられます。たとえば、初対面同士が道案内をする対話場面と、サークルの仲間3人が雑談する会話場面とでは、ことば遣いも談話構造も異なります。「あのね」や「なんか」という発話の断片はどんなタイミングで現れ、どのように会話の進行に貢献しているのか、ジェスチャーや視線などの非言語行動はことばとどう結びついて機能しているのか、母語話者と学習者とのやりとり(接触場面)を特徴づけるのは対比かそれとも共感か。こうした日常の何気ない発話の連鎖が複雑に絡みあうインタラクションのしくみを解明していくプロセスは、まさにこの研究分野の醍醐味といえるでしょう。

主著:Referring Expressions in English and Japanese: Patterns of use in dialogue processing, Amsterdam/Philadelphia: John Benjamins [Pragmatics & Beyond New Series 208] (2011)

冨樫 健二(とがし けんじ)専門分野:運動生理学、健康科学

研究課題:運動・スポーツを通した生涯にわたる健康づくり

kenji_togashi.jpg 日常の中に運動やスポーツの実践を取り入れることは生活を豊かにしたり、健康を保持・増進する上でとても大切なことです。運動を定期的に行っている人では、行っていない人に比べて体力的な余裕があるばかりでなく、中高齢期になって高血圧、糖尿病といった内科的な疾患や、女性に特有の骨粗鬆症といった整形外科的な健康問題が少なく、さらに精神衛生的な問題も少ないことが知られています。また、東京オリンピックが近くなってきた昨今では「スポーツを見る」といった行動も人々のコミュニケーション促進に一役買っています。教養としての運動やスポーツの意義を知ること、つまり、運動・スポーツが自分のからだやこころにもたらす恩恵について少しでも多くの人に理解してもらいたいと思っています。
主著 スポーツ生理学 化学同人 冨樫健二編

野田 明(のだ あきら)専門分野:アメリカ文学

研究課題:19世紀の小説研究

akira_noda.jpg 教養教育では外国語(英語)を担当しています。専門はアメリカ文学で主に19世紀の小説、『白鯨』(1851)で名高いハーマン・メルヴィルの作品を中心に研究しています。いわゆる「実用英語」とは違い、試験や海外旅行で使えて便利!というものではありませんが、歯応えのある原典を読む作業には辛さとともに、他では味わえない愉しさもあります。所詮フィクションだから、役に立たない作り事のようにも見えますが、案外、そうでもありません。アメリカルネッサンスと呼ばれるこの時代の文学にも、現代人が抱える問題に通じるものが隠されています。日々ますます忙しくなる中で、実用・実践的な言葉と、フィクションの言葉と、両方を大切にしていきたいと考えています。
論文:「ベニート・セレーノ」の言葉遣いと語り―"Devices"in"Benito Cereno"― Philologia 45(2014)

下村 智子(しもむら ともこ)専門分野:比較国際教育学

研究課題:カナダにおけるイヌイットの教育政策、教育課程における資質・能力の涵養

世界のどの国にもその国民を育てるための教育制度が存在します。それらは一様なものではなく、その国の歴史や社会的・経済的・文化的背景、理想とする国民像(市民像)によって、教育の目標や内容、制度等が異なっています。また一方で、グローバル化の進展に伴い、国際的な教育の動向による影響を受けながら、それぞれの国において教育改革が進められています。このように様々な側面が反映されている世界各国の教育について知ることは、その国の文化や人について知ることに繋がるものです。また、比較という視点を持つことにより、日本の学校教育の特徴や日本という国の特質を知ることにも繋がります。
主著[共著]:『21世紀にはばたくカナダの教育』(東信堂、2003)、「先住民の教育における公正に関する一考察-カナダヌナブト準州のイヌイットを事例として-」(『カナダ教育研究』、2006)、『こんなに厳しい!世界の校則』(メディアファクトリー、2011)

長濱 文与(ながはま ふみよ) 専門分野:教育心理学、協同教育

研究課題:学習者の協同に対する認識が学習活動に及ぼす影響

fumiyo_nagahama.jpg 私たちはそれぞれ、他者と一緒に活動することに対して様々なイメージを持っていると思います。この"他者と一緒に活動すること"を「協同」という言葉にして研究しています。人が「協同」に対してどのように認識しているのか、その認識はどのような環境や経験や出来事により形成されたのか、また、認識の異なる人々が共に活動することで活動自体にどのような影響があるのか、などに興味があります。学習場面や仕事における「協同」活動は課題を達成することに大きな目的があります。そのためにはそれぞれがもっている「協同」へのイメージや認識を超えて、本当の意味で「協同」できるようなグループになることが重要です。そのために必要な考え方やポイントを念頭に置きながら教育や研究を行っています。
主著:学校で役立つ教育心理学 谷口篤・田村隆宏(編著) 2011 八千代出版 (長濱執筆:6章)

ボッフマイア ジャスティン 専門分野:語用論、認知言語学、社会言語学、言語哲学、言語人類学

研究課題:ポライトネス、名詞化、包含的な意味

日常生活の中で、他人と話して、自分で事を考えて、一日中人間が言語を使います。様々な言語の部分が音(音声学、音韻論)や言葉(形態論、統合論、意味論)を規則によって組み合わせます。但し、使い方はまた別の規則があります。例えば、社会や文化がないなら「俺」と「私」は同じ意味ですが、社会と文化があるからこの二つの代名詞の意味(使い方)はかなり違います。表現や使い方の違う意味の原因の解析で人間の分化、考え方、行動などをもっと深く理解するようにしたいです。殊に、人間の間に社会的にポライトネス(インポライトネスも含んで)を言語でどう示すか、なぜ大切なのかと言う質問の回答を研究しています。

教養統合科目部門

大野 研(おおの けん)専門分野:景観計画・設計、景観生態学

研究課題:景観を利用した持続可能な地域管理

ken_oono.jpg様々な景観は、自然によって創り出されたものであったり、人間によって創り出されたものであったり、自然と人間がお互いに影響し合って創り出されたものであったりします。ある地域の景観が、その地域の自然的な特性からかけ離れたものになっていた場合は、その景観を維持するためには多くのお金か労力、またはその両方が必要となります。したがって、十分に自由で安全で快適で持続可能な地域を創り上げるためには、地域の個性を生かした地域のあるべき景観を追求していくことが必要となります。また、ある地域の自然や文化に変化が生じると、景観に変化が生じます。その景観の変化をいち早く察知し適切に地域を管理していくことも、持続可能な地域を創る上では必要なことだと考えています。
主著[共著]:知っておきたい斜面のはなし(土木学会2005)、ファジィ理論の土木工学への応用(森北出版1992)、色彩のフラクタル解析を用いた河川景観の評価(土木学会論文集2005)、農村での生物多様性保全のための理論の統合(農業土木学会誌2004)

古関 春隆(こせき はるたか)専門分野:代数学、数論

研究課題:無限ガロア群、完備群環、ℓ進表現

harutaka_koseki.jpg 図形の対称性がその図形を自分自身に重ねる変換の群で記述されるように、方程式の対称性はガロア群というもので記述されます。19世紀にガロアが発見したこの群は有限群でしたが、その後「無限ガロア群」が導入され、ここ数十年の数学の流れの中でその重要性が認識されてきました。この新しい流れでは岩澤健吉という人が発明した「完備群環」が魔法の杖のように役立ちます。さらに関連して「ℓ進表現」というものもあり、このような対象についていま考え中です。
主著
Matrix Coefficients of Representations of SU(2,2) (織田孝幸氏と共著), International Journal of Mathematics, vol. 15 (2004)

鬼頭 孝治(きとう こうじ) 専門分野:農業工学、制御工学

研究課題:ドローンによる獣害対策,熟度判定機能を持つ桃収穫装置の開発

kito2.jpg農業生産の分野では,就労者の高齢化,後継者難,重労働等の多くの課題を抱えています。これらを解決する手段の一つとして,自動化,ロボット化の研究が行われていますが,なかなか実用化に至っていません。これはロボットが,めまぐるしく変わる環境の中で,特性が均一でない生物を,高速に,精度良く,安定的に取り扱うことの難しさに加えて,農家レベルでの導入には低コストでなければならないことが要求されるからです。このような状況の中で,特に機械化が困難な果実収穫において,できるだけ安価で,農家の人の手助けとなる賢い道具を開発するための研究をしています。また,昨今全国で大きな問題となっている野生動物による獣害対策に,空中を自由に移動できるドローンを自動で飛行させ,人間の代替として利用すべく研究をしています。

主著(共著):生物生産のための制御工学(朝倉書店2003),和英対訳農業機械解説書(Ⅱ)(農業機械学会1995),獣害対策におけるドローンの利用可能性(農業食料工学会誌2016),熟度を判定しモモを傷めずに収穫するハンドの開発(果実日本2011),農業用ロボットの把持機構について(植物工場学会誌1994)

瀬戸 美奈子(せと みなこ)専門分野:学校心理学

研究課題: チーム援助のコーディネーション

 複雑多様化する子どもたちの問題に対して、教師・保護者・スクールカウンセラーなどがチームを組んで援助する際の調整行動(コーディネーション)について研究しています。教師や保護者は様々な価値観を持っており、子どもの援助に向けてチームとして機能することは難しい場合が多々あるのが現状です。援助方針や援助者の役割分担を行うコーディネーターの専門性がどのようにチーム援助を促進していくのか、またチーム援助の中で教師に対して助言(コンサルテーション)を行うことがどのように教師の成長を促進していくのか、といった点について教育の現場と連携しながら、実践研究と調査研究の両面から研究に取り組んでいます。

野呂 雄一(のろ ゆういち)専門分野:音響(電気音響、騒音・振動)、ディジタル信号処理

研究課題:音の評価ならびに音を利用した応用計測に関する研究

11903730_800968600020187_5530294323459522933_n.jpg人間が音を聞いたときに感じる印象の予測や音信号を利用した応用計測など、音に関係する研究をしています。前者の研究テーマとしては音の物理的評価指標から歌声の声質(表声or裏声)を判定したり、機械動作音の不快感(の程度)を予測することを試みています。これらの研究では人の感覚量を扱うために官能試験を実施して統計処理を行ったり、判定や予測にニューラルネットワーク等の機械学習システムを利用することが多いです。一方、後者ではヒトの睡眠中の掻破行動を腕時計型のセンサで検出するシステムの構築等、ディジタル信号処理による音信号の処理や分析を行っています。

主著(論文)等
Y. Noro, Y. Omoto, etc. , "Novel acoustic evaluation system for scratching behavior in itching dermatitis: Rapid and accurate analysis for nocturnal scratching of atopic dermatitis patients," The Journal of Dermatology, 41, 233-238 (2014) 共著
久野和宏, 野呂雄一, 佐野泰之, 都市の音環境 (技報堂出版, 2013) 共著

太城 康良(たしろ やすら)専門分野:神経発生学、医学教育学

研究課題:(1)胎生期における脳神経の形態発達。(2)成績評価法・授業評価法の妥当性に関する研究。

yasura_tashiro.jpg脳の機能は無数の神経細胞の緻密なネットワークの上に成り立っています。この神経ネットワークの発達には外因的な電気活動の有無が大きなカギであると言われています。教育も神経ネットワークの発達を促す良い刺激であってほしいですね。私は医学部では基礎医学(解剖学)やチュートリアル教育(模擬的な臨床症例を用いたグループ学習)を担当しています。特に解剖学は臨床医学の理解に必須の基礎知識ですが、情報量の多さのため、初めて学ぶ者には辟易されがちです。そこで、学ぶ者のモチベーションをいかに持続、向上させるか授業や成績評価の方法も研究しています。分野・学部を問わず、初めて学ぶ者の気持ちを大切に、楽しく、責任ある教育を目指します。

主著:(1)
太城康良、望木郁代、森尾邦正、世宮俊介、白石泰三、堀浩樹 (2014)
ピア評価の導入によるPBL行動評価の改善の試み
医学教育

主著:(2)
Oyabu A, Narita M, Tashiro Y. (2013)
The effects of prenatal exposure to valproic acid on the initial development of serotonergic neurons.
International Journal of Developmental Neuroscience 

林原 玲洋(はやしばら あきひろ)専門分野:社会学(コミュニケーション論・社会問題論・レトリック論)

研究課題: コミュニケーション齟齬の研究

議論(ディスカッションやディベート)のスキルは、しばしば、アカデミックな(大学において必要な)コミュニケーション能力(コンピテンス)の1つであるとされます。本学でも、「スタートアップセミナー」や「教養ワークショップ」において、グループワークにおける議論の実践を重視しています。ですが、議論することは、つねに「善い」結果をもたらすとは限りません。議論をすればするほど、互いの議論の「噛み合わなさ」が露呈し、感情的な対立が深まっていく――そんなもどかしい体験をしたひとも多いのではないでしょうか。私は、このような議論の「噛み合わなさ」(コミュニケーション齟齬)がどのように生じるのかを、社会学とレトリック論の知見を応用して研究しています。
主著(論文)等:
林原玲洋,2010,「論争における問題設定の『ずれ』――筒井康隆『無人警察』をめぐる論争を事例として」『年報社会学論集』23: 141-52DOI: http://doi.org/10.5690/kantoh.2010.141
林原玲洋,2013,「社会問題の構築とレトリック――論法・転義・同一化」中河伸俊・赤川学編『方法としての構築主義』勁草書房,216-33

和田 正法(わだ まさのり)専門分野:科学技術史、大学史、作文教授法

研究課題:日本における工学教育の歴史

masanori_wada.jpg大学の教育力を評価することはとても困難です(たとえば、三重大学の教育力は何によって決まるのでしょうか)。これまでは、優秀な教師、立派な施設、活躍した卒業生という、いわゆる良い面を強調してきました。私はそこに、むしろ成績が振るわない学生がどれだけ成長したか、という視点を持ち込みたい。なぜなら、優秀な学生は、放っておいても、他の大学でも成長する見込みが高いからであり、それをその大学の教育力と関連付けるには疑問の余地があるからです。それに対して、いわゆる優秀でない学生が優秀になって卒業したら、それはその大学の教育力のたまものと言ってよいでしょう。こうした教育力の指標を作るために、まずは工学という分野に対象をしぼり、歴史学という手法を用いて、その課題に取り組んでいます。やっていることは、今はまだ、細か~~いことばかりなんですけどね。「三重大学に来て、和田の研究を知って、人生が変わってしまった!」――学生さんにこんなことを言ってもらえるようになりたいと思っています。
主著:「日本の学士課程における教育の一環としての研究――卒業研究の特徴と課題」(2014)、「工部大学校における化学科の位置付け」(2012)、『作文がうまくなる訓練方法』(2014)。

TULADHAR ASTHA(トゥラダール アスタ)専門分野:園芸学、英語教育

研究議題:アジアの都市部での食糧生産及び緑化事情

IMG_6567.jpg農業の機械化とともに経済的な価値が高いとされている果樹、花、野菜、ハーブや香辛料は園芸植物として、人工的な環境下で栽培されることが多い。植物は動物と違い、一か所に定着しているため、ストレス条件でも同じ環境に適応しなければいけません。植物はどのようにそのストレスに反応しているかを知ることは、より強い品種の作物をつくるために重要ですが農業以外に植物学的にも興味深い。植物細胞のストレス反応を形態学的な視点から観察することで植物に関する新しい知見を得ることが可能になる。土壌環境が乾燥か灌水条件で果樹類の根細胞がどのようなストレスを受けるかについて研究してきましたが、都市部での食糧生産、特に屋上での栽培はこれからの時代に注目されている課題である。そこで、屋上の限られたスペースでの栽培に関する研究が盛んになってきている。科学者として英語でのコミュニケーションはより大事なグローバルな時代になってきた中、英語での論文の書き方や発表の仕方を指導する立場になりました。英語教育をしてきた経験を生かして、ライティングとスピーチに力入れた授業を行いたいと思います。

主著(論文)等
Effect of Soil Water Conditions on Biopolymer Accumulation in Root Polyderm of Feijoa sellowiana (Myrtaceae). Tropical Agriculture and Development (ISSN 1882-8450) Vol. 60, No.3, pp.195-199 Published in September, 2016
(A Tuladhar, S Ohtsuka, N Nii)

特任教員

中谷 直司(なかたに ただし)専門分野:日本外交史、日米英関係史、国際関係論

研究課題:戦前期日本の対外政策・国際関係、外交史と国際関係理論の接合

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日本外交史を専攻しています。「外交史」とはある国の対外政策や、その結果生じた国際交渉・協調・紛争などを、歴史学的に研究する政治学(国際関係論)の1分野です。これまでの研究の中心的な成果は、中谷直司『強いアメリカと弱いアメリカの狭間で』(千倉書房)として2016年に出版されました。
今後は太平洋戦争に至る国際政治過程を、その前史をふくめて、長期的なスパンで再検討します。同時に、外交史研究との関係で、国際関係論における同盟理論と戦争の原因理論にも強い関心を持っており、共同研究を進めています。同様の関心から、冷戦終焉期の日米関係(同盟)を主題とする共同研究にも参加しています。
歴史学的アプローチをとる研究者の批判に耐えると同時に、国際関係の理論分析を専門とする研究者にも参照されるに足る研究を行うことが、長期的な目標です。

主要著書・論文:
『強いアメリカと弱いアメリカの狭間で──第一次世界大戦後の東アジア秩序をめぐる日米英関係』(千倉書房、2016年)。
「同盟はなぜ失われたのか──日英同盟の終焉過程の再検討1919-1921」『国際政治』第181号(20153月)。
"What Peace Meant to Japan: The Changeover at Paris in 1919." In The Decade of the Great War: Japan and the Wider World in the 1910s, edited by Tosh Minohara,Tze-ki Hon and Evan Dawley, 168-88. Leiden: Brill Academic Publishers, 2014.

福田 知子(ふくだ ともこ)専門分野:生物学

研究課題:植物系統地理学

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生物は地球上のあらゆる場所に生息しています。これらの生物の多くは、長い歴史の中で環境の変化に応じて分布域や形を変えながら現在に至ったものです。ある生物やその仲間を詳しく調べることで、それ(ら)がどういう経緯で成立し、分布を広げてきたかが推定できることがあります。私は現在、主にユキノシタ科の植物のうち、北米~北東アジアに分布するシベリアイワブキとその仲間の成立の歴史や関係を推定するため、形態、染色体、遺伝的背景などを調べています。
いろいろな生物が存在していることを「生物多様性」と呼びます。授業では、人間がどのように生物の多様性に気づいて整理してきたか、今後、生物多様性をどう理解し保全していけばいいのかについて考えていきます。また、いろいろな研究例に触れることで、皆さんに生物学の扱う対象や研究の切り口・手法の幅広さを感じていただきたいと思います。

主著(論文等)
福田知子(2012)「カムチャツカの花図鑑」(監修・文)(株)JATM
Fukuda T., Andreeva E., Taran A., Takahashi H.and Ikeda H. (2016) Chromosome number of Micranthes nelsoniana (D. Don) Small (Saxifragaceae) in North East Asia. Caryologia 69: 325-329.

奥田 久春(おくだ ひさはる)専門分野:比較・国際教育学、国際教育協力論、教育課程論

研究課題:オセアニア島嶼国の教育と国際協力

hisaharu_okuda.jpg教育制度や教育課程は、その国・地域の社会や文化の中で形成されますが、国際的な影響も受けます。教育政策として積極的に外国から借用するものもありますが、植民地だった国々は宗主国の教育制度の影響を受けたり、開発援助という名目で先進国のモデルが移転されたりということもあります。もちろん一方的に影響を受けるのではなく、様々な相互作用の影響がありますし、国際的な影響を受けつつ自らの教育政策として再構成されるものだという考え方もあります。最近では国や地域の状況に合った教育でありつつ、グローバル化する世界の教育に合わせていくことも課題として認識されるようになっています。
こうした教育における国際的な影響について、教育人材や教材が十分とは言えない小さな島嶼国ではどのような状況なのか関心があります。中でもファア・サモアと呼ばれる独特の伝統文化を重んじつつ、オーストラリアやニュージーランドへ移民を送り出すなど海外とのネットワークが強いサモアで、教育制度や教育課程がどのように形成されているのかについて研究しています。
主著[分担著]「サモアにおける教育開発に関する考察」オセアニア教育学会『オセアニア教育研究』15号(平成21年9月)、「南太平洋の楽園の学校―サモア」二宮晧編著『新版世界の学校』(平成26年1月)

陳 奕廷(ちん えきてい) 専門分野:認知言語学、対照言語学、コーパス言語学

研究課題:複合語の意味と体系、構文化、反義語

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「ことば」というものは我々にとって一番身近でありながら、知れば知るほど不思議な現象が存在していると気付かされます。たとえば、2つの動詞が結合してできた複合動詞には「(花火を)打ち上げる」と「(花火が)打ち上がる」のように、対応関係を持つペアがある場合と、「(壁を)叩き壊す」のように、対応する自動詞「(壁が)叩き壊れる」が存在しない場合があります。このような一見不規則な言語現象の裏には、何らかの法則が潜んでおり、そこには注意の推移やパターン補完、因果関係の推論など、様々な人間の認知能力が反映されています。つまり、言語を研究することは人間の認知能力をより深く知ることにも繋がるのです。言語という人間の脳裏に存在する内なる宇宙に対する興味は尽きることなく、日々新たな発見を求めて探索を続けています。

主著(論文)等
Chen, Yi-Ting (2016) A frame-semantic approach to verb-verb compound verbs in Japanese: A case study of -toru. In Proceedings of the Thirty-Ninth Annual Meeting of the Berkeley Linguistics Society (BLS 39), 16-30. Berkeley, CA: Berkeley Linguistics Society.
陳奕廷 (2016) 「コンストラクションとしての日本語の語彙的複合動詞」 『レキシコンフォーラム』 No. 7, 125-156. 東京:ひつじ書房.

大熊 富季子(おおくま ときこ)専門分野:第二言語習得

研究課題:第二言語としての英語及び日本語の習得過程の解明

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ほとんどの人は母語は問題なく獲得できるのに、外国語の学習となるとなぜ困難になるのでしょうか。また外国語の学習において、なぜ特定の項目は易しい/難しいのでしょうか。
私たちが外国語を学習する際に漠然と感じているこれらの疑問に答えるため、第二言語習得研究では、第二言語(/外国語)の知識は何で構成され、それはどのようなメカニズムで獲得・運用されるのか、を解明することを目的にしています。
私の研究では、第二言語学習者と母語話者の発話や文の解釈を比較することにより、①学習者は第二言語を使う際にどの程度母語の知識を使用するのか、②第二言語の学習の経過と共に母語の知識は使用されなくなり、学習者は最終的に母語話者と同じ第二言語の知識を持つのかどうか、を調べています。

主著(論文)等
Okuma, T. (2014) Asymmetry in acquisition of prosodic structures: Evidence from L2 Japanese. (Selected Proceedings of the 5th Conference on Generative Approaches to Language Acquisition North America (GALANA 2012))
Okuma, T. (2015) The interpretation of Japanese pronouns by L1 English and L1 Spanish speakers. (Proceedings of the 39th Annual Boston University Conference on Language Development (BUCLD39) Online Proceedings Supplement)

田中 秀治(たなか ひではる)専門分野:生成文法(統語論、意味論)

研究課題:動詞句における統語と意味の対応

masanobu_sorida.jpg言語学の一つの目標は、「あなたが自分の母語を使うときに無意識に利用している知識」を明らかにすることです。例えば、日本語母語話者なら「そうする」という代用表現の使い方を無意識に理解しています。その証拠に、「Johnが三重大に向かったので、Maryもそうした」という文と「Johnが三重大に着いたので、Maryもそうした」という文を比べた時、後者の方が前者よりも不自然に感じると思います。そういった許容性の差を判断できるのは、「そうする」の使い方を理解しているからと考えられますよね。面白いのはここで、そのような暗示的知識の存在を指摘できるかどうか、そしてその内容を明示的に説明できるかどうか。問題と解はあなたが作ります。研究だけではなく、どのような分野でもこういったスキルは大切になりますので、その訓練の一環としてもぜひ言語を学んでみて下さい。
主著[論文]:Tanaka, H. (in press) "The Derivation of Soo-su: Some Implications for the Architecture of Japanese VP," Proceedings of Japanese/Korean Linguistics 23, CSLI Publications, Stanford. Tanaka, H. (2016) "Japanese EPP Revisited: Negative Polarity and Degree Anaphora," JELS 33, 277-283, the English Linguistics Society of Japan, Tokyo.

玉利 健悟(たまり けんご)専門分野:生理学、人体機能学、食品機能学

研究課題:嗅覚・味覚メカニズムの解明、嗅覚障害の治療法の確立

kengo_tamari.jpg 嗅覚・味覚はヒトの心理的変化だけでなく、生理機能を変化させます。これらのメカニズムの解明はこの20年で大きく進歩し、空気や食物中の物質を嗅細胞や味細胞が、どの様な分子機構で情報を脳に伝えるのか明らかになってきました。その一方で、これら障害に悩まれている患者さんはいまだに多く、生活の質を低下させています。この様な問題に対して、私は3つのテーマで研究を行っています。1.嗅細胞に、様々な匂い物質や薬品を投与し、機能への影響を明らかにする。2.嗅覚障害モデルマウスを用いて、薬を投与した際の神経再生を解析する。3.ヒトの味覚検査から味質別の正答率の違いを明らかにする。上記のように細胞、マウス、そしてヒトのレベルまで幅広く研究することで、多方面のアプローチから嗅覚・味覚メカニズムの解明に寄与したいと考えています。
主著[共著]:Suppression and recovery of voltage-gated currents after cocaine treatments of olfactory receptor cells. (Auris Nasus Larynx. 2013)、Blockade of interleukin-6 receptor suppresses inflammatory reaction and facilitates functional recovery following olfactory system injury.(Neurosci Res. 2013)、味覚検査前味質学習が検査に及ぼす影響(日本味と匂学会誌2011)

野村 純也(のむら じゅんや)専門分野:理論言語学
研究課題:形式意味論、形式語用論、フィールドワーク

nomura_jyunya.jpg日本語話者なら「林先生は神奈川県に住んでいた」というおそらく初めて聞いた文の意味を理解できるはずです。聞いたことがない文を理解できるというのは、人は文の意味を一つ一つ覚えているのではなく、文を構成する語(厳密には形態素と呼ばれる語よりも小さなもの)の意味から文全体の意味を「計算」できるという有力な証拠です。語(形態素)の意味を特定するというのが、形式意味論の重要な課題の一つです。「犬」という語の意味は、犬の集合と考えるとそれなりに上手くいくことがわかっています。では、「林先生はもう神奈川県に住んでいない」と言ったときの「もう」の意味とはなんでしょうか?「もう」のあるなしでどう意味が変わるのか考えてみてください。また「今日はいい天気だね」の「ね」の意味とはなんでしょうか?最近は、こういったちょっと捕らえどころのない語意味について考えています。
主著[共著]:Adpositional Comparatives in Japanese, (The Proceedings of the 7th Workshop on Altaic Linguistics, 2011)
Exploring First Conjunct Agreement in Kaqchikel (MIT Working Papers on Endangered and Less Familiar Languages 8, 2013) Daeyoung Sohn氏との共著)

平川 和(ひらかわ のどか)専門分野:アメリカ文学

研究課題:21世紀の小説研究――ドン・デリーロを中心に

平川_写真②.jpgアメリカのトランプ大統領が演説などで用いる言葉は、シンプルでわかりやすいと言われています。そういう言葉は読んだり聞いたりしていて心地いいので、多くの人の心を惹きつけることがあります。しかし一方で、シンプルでわかりやすい言葉には、複雑な思考を斥け、社会の本質的な問題から私たちの眼差しを逸らしてしまう危険性もあります。逆に、文学が織りなす言葉は難解で、それほど易しくありません。ですが、そういう文学的言語と辛抱強く向き合うことで、社会の複雑な諸問題に対処するための糸口が見えてくることもあります。わたしは21世紀のアメリカ小説を研究することで、現代社会を批評するための有効な視座を獲得することを目指しています。

論文:
Seize the Empty Present: The Poetics of "Twittering" in Don DeLillo's The Body Artist. 『英米研究』41(2017).
クローゼットの中のジハード戦士――『ディスグレイスド』に見る9・11以後のムスリム・アメリカン.『アメリカ演劇』27(2016)