教養教育院では、8月下旬から9月上旬にかけて、シェフィールド大学から講師を招いて英語特別プログラムの学生を対象とした集中講義と合宿研修を実施しています。夏休み期間中にも拘らず毎年多くの学生が集中講義を受講し、それに続く合宿研修にも参加しています。新カリキュラムがスタートした翌年の2016年から実施していますので今年で4年目になります。本年度はそれに加えて、8月のお盆休み直後に「教養教育カレッジ」を開講しました。教養教育院のホームページに短い実施報告を掲載していますが、本学の元教育担当理事・副学長の3人の名誉教授の先生方に、本学の学生、一般市民、高校生、県内の他大学の学生という幅広い受講生を対象とした集中講義をお願いしました。
教養教育で例年実施している公開講座について駒田学長と話している中で、名誉教授にも講師をお願いしてはどうかといった趣旨の提案がありました。そこで思いついたのがこの3月末に同時に退職された初代から第3代までの教育担当理事に集中講義をお願いし、それを幅広い受講生に受けてもらうということでした。3人の先生方にお願いすればきっと充実した内容の講義になると思ったこととは別に、主に2つの理由がありました。
先ずは、複数講師によるオムニバス形式ではなく、1名の教員による一貫した内容の15回の理系の授業を提供したかったことがあります。現役の理系教員に特有のことのようですが、教育では積み上げ式の知識や技術を教えることが求められており、また、日頃は研究室運営と学生指導に多くの時間が割かれ、半期15回の教養教育の講義を一人で担当するのは難しいといった事情があるようです。名誉教授であれば、講義の準備をする時間もそれなりに確保できるのではないかと考えました。
次に、多様な受講者に対して講義をするのは、担当する講師にとっては大変なことですが、将来の大学像を考えると、高卒後すぐに入学してくる学生だけではなく、飛び級入学の18歳未満の学生やリカレント教育(生涯教育)の受講生などが益々増えることが予想されます。そのこともあり、幅広い受講生を対象とした正規の授業を開講し、将来に向けて備えておきたいということもありました。
計33名の受講生が8月20日〜27日の期間に開講された3つの集中講義に分かれて受講しました。その中には計6名の高校生と3名の市民が含まれていました。高校1年生から90歳の市民が受講している光景は、さながら近未来の大学でした。
酷暑の中、1日4コマ(8:50〜16:10)の授業が4日間続くこともあり、講師や受講生で体調を崩す方が出ないかと心配していましたが、特に大きな問題もなく無事に終了しました。私も少しだけ受講させていただきましたが、どの授業もそれは素晴らしい内容で、教養教育院長の仕事を投げ出して授業に出ようかと思ったぐらいです。今回の集中講義の為に膨大な時間と労力を使って準備をしてくださったことは、少し受講しただけでも十分に伝わってきました。教養教育カレッジ終了後に受講生アンケートを実施しましたが、自分の授業評価では見たこともないような高評価でした。講師の熱意がそのまま評価に反映されたのではないかと思われます。
教養教育院の暑い夏がようやく終わり、あと1ヶ月弱で後期が始まります。私も含め、教員は後期の授業に向けて準備をしているところです。少し涼しくなった後期の教養教育の教室でお待ちしています。
初代教育担当理事・副学長 山田 康彦名誉教授担当「現代社会理解実践(アーツで社会探究)」の授業風景